2023SEASON
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泣いても笑っても最終戦

ドリフトマスターズヨーロッパチャンピオンシップ2023。20ヵ国から集まった50名のトップドライバーが、ヨーロッパ各地を巡り、全6戦で競い合う。名実共にドリフトの世界で最も権威のある大会である。その最終戦が9月15・16日、ポーランドのワルシャワにあるPGE Narodowyで開催された。今シーズンは優勝争いがもつれ合い、この最終戦の段階で優勝候補が6人もいる状態。誰が勝つのか、誰も分からないシナリオに、スタジアムに集まった6万人以上の観衆が一喜一憂した。日本人として初めてドリフトマスターズにフル参戦したTEAM VALINOの中村直樹選手。初日の予選は26位(86点)で通過し、翌日の決勝の舞台へと駒を進めた。「左足ブレーキを使うシーンで、少し回転数を落としてしまった。そのミスさえなければ90点台が狙えたかな。振り返ると、あのミスはちょっと悔しいですね」。

予想外の作戦が襲いかかる

中村選手は絶対に他の選手のことを悪く言わない。勝っても負けても結果を受け入れ、戦った相手をリスペクトする。しかし、今回だけは違った。腹の虫がおさまらず、ムカついていた。これまでに5回ほどドリフトマスターズの取材をしてきたが、こんなことは初めてだ。決勝、ベスト32。「長いシーズンなので、同じ選手と当たるのはよくあることで、CIRBA選手とはこれで3回目。一番最初は僕のトラクション重視の走りに対応できず、彼は負けた。その次は彼は空気圧を落として日本流のドリフトを真似てきたが、それでも負けた。そして、今回。どんな風に来るのかと思ったら、遅遅作戦(笑)。余裕でバチバチに合わせてやりました」。許せないのは2本目の時だ。後追いのCIRBA選手は捨て身の攻撃に打って出た。壊されたマシン。その傍らにいる中村選手は、ニヤニヤしながら寄って来た彼を無視し、相手にしなかった。

DMEC2023 年間ランキング10位

状況的にいって、彼はそれを狙ったのだろう。「振り返しの時、サイドブレーキを一発入れると速く走れるんです。自分はずっとそういう風にしてきた。ただし、ドリフトマスターズではそれが原因で接触した場合、ブレーキを踏んだ前のクルマの責任になる、というルールなんです」。振り返しの瞬間、まるで見計らったように追突され、吹っ飛び、壁に激突。ファンは全部折れ、ラジエター液が飛び散り、リアの足まわりは大ダメージを受ける。もちろん、判定は中村選手の勝利。「審査員がフェアで、正しい判断をしてくれたのが救いでした」。どんな手を使っても引きずり落とす。世界で戦うためには必要なマインドかもしれないが、最後に勝つのは正義だ。続くベスト16は壊れた車輌を必死に直して挑むが、惜しくも敗れた。VALINOと共に挑んだドリフトマスターズ。中村選手の挑戦は年間ランキング10位という結果で終えた。