ホイールのオフセット(インセット)とPCD完全ガイド
ホイール選びで必ず理解が必要な「オフセット(インセット)」と「PCD」について、基礎知識から測り方、計算方法、車種別の推奨値まで徹底解説します。マイナスオフセットとプラスオフセットの違い、PCD100と114.3の違い、ツライチの出し方、車検対応のポイントまで、初心者にも分かりやすく説明します。
ホイールのオフセット(インセット)とは?
オフセット(OFFSET)は、ホイールの取り付け面がリムの中心からどれだけずれているかを示す数値です。日本国内では「インセット(INSET)」とも呼ばれ、同じ意味です。単位はmm(ミリメートル)で表記されます。
オフセットは、ホイールを車両に装着したときの位置を決定する最も重要な数値の一つで、車のスタンス(見た目)、ハンドリング、フェンダーとのクリアランス、車検適合性のすべてに影響します。
💡 オフセットの基本
- プラスオフセット(+40、+45など):取り付け面がリム中心より外側(フェンダー側)にある。ホイールが内側に入る
- ゼロオフセット(±0):取り付け面がリムの中心にある
- マイナスオフセット(-12、-3など):取り付け面がリム中心より内側にある。ホイールが外側に出る
オフセットの表記方法
オフセットは、ホイールの裏面や製品仕様に以下のように表記されます。
- +45:プラス45mm(取り付け面がリム中心より45mm外側)
- +38:プラス38mm
- ±0:ゼロオフセット(取り付け面がリム中心)
- -3:マイナス3mm(取り付け面がリム中心より3mm内側)
- -12:マイナス12mm
プラスオフセットとマイナスオフセットの違い
プラスオフセットの特徴
- 見た目:ホイールが内側に入り、フェンダーとのクリアランスが広い
- 車検:フェンダー内に収まりやすく、車検に通りやすい
- ハンドリング:トレッド幅が狭くなり、直進安定性が高い
- 用途:ストリート走行、純正サイズの車両
- 代表例:トヨタ86/BRZ +45、+38など
マイナスオフセットの特徴
- 見た目:ホイールが外側に出て、ワイドトレッド化、迫力あるスタンス
- 車検:フェンダーからはみ出す場合、車検不適合
- ハンドリング:トレッド幅が広がり、コーナリング性能向上
- 用途:ドリフト走行、サーキット走行、カスタムカー
- 代表例:ドリフト仕様 -12、-3など
🏁 ドリフト競技でマイナスオフセットが必須な理由
D1グランプリやD1ライツなどのドリフト競技では、ワイドトレッドスペーサーの使用が40mm以内に制限されています。そのため、トレッド幅を広げるにはマイナスオフセットのホイールを使用する必要があります。
D1ライツ 浅野潤一選手:「9.5J -12というサイズはVALINOホイールしかない。ワイドトレッドスペーサー40mm制限があるから、マイナスオフセットの深リムが必須」
オフセットの測り方と計算方法
オフセットは、以下の計算式で求められます。
📐 オフセット計算式
オフセット = (ホイール全幅 ÷ 2) - ハブ取り付け面からリム外側までの距離
例:リム幅9.5J(約241mm)、ハブ取り付け面からリム外側まで108.5mmの場合
オフセット = (241 ÷ 2) - 108.5 = 120.5 - 108.5 = +12mm
実際の測定方法
オフセットを実測する場合は、以下の手順で行います。
- ホイールを裏返す:ホイールの裏面を上にする
- 定規を使う:リムの外側から内側まで直線定規を渡す
- ハブ取り付け面までの距離を測る:定規からハブ取り付け面(フランジ面)までの距離を測定
- リム幅を測る:リムの内側から外側までの幅を測定
- 計算式に当てはめる:上記の計算式で算出
ただし、一般的にはホイールの裏面や製品仕様に表記されているため、実測する必要はほとんどありません。
ツライチ(面合わせ)の出し方
ツライチとは、ホイールの外側とフェンダーの面を揃えることで、カスタムカーで最も人気のあるスタンスです。ツライチを出すには、オフセットの計算が重要です。
ツライチに必要なオフセットの計算
ツライチを出すためのオフセットは、以下の要素で決まります。
- 現在のホイールとフェンダーの距離:現状で何mm内側に入っているか
- 新しいホイールのリム幅:リム幅が広がると外側に出る
- 理想のツライチ状態:フェンダーとピッタリ、または少し内側
📐 ツライチのオフセット計算式
必要なオフセット = 現在のオフセット - フェンダーまでの距離 + リム幅の差 ÷ 2
例:現在+45のオフセットで、フェンダーまで20mm余裕がある場合
必要なオフセット = 45 - 20 = +25mm程度でツライチになる
ツライチと車検
完全なツライチ(フェンダーとピッタリ)は、車検に通る場合と通らない場合があります。安全マージンとして、フェンダーより5〜10mm内側に収めることをおすすめします。
⚠️ ツライチの注意点
- フェンダーからタイヤがはみ出すと車検不適合
- フルロック時にフェンダーインナーに干渉しないか確認
- サスペンションが沈んだときの干渉も考慮
- タイヤの空気圧や車高によってもクリアランスが変化する
PCD(ピッチサークル径)とは?
PCD(Pitch Circle Diameter:ピッチサークル径)は、ホイールのボルト穴の中心を結んだ円の直径のことです。単位はmm(ミリメートル)で表記されます。
PCDは車種ごとに決まっており、ホイールのPCDが車両のPCDと一致しなければ装着できません。オフセットと並んで、ホイール選びで最も重要な数値です。
PCDの表記方法
PCDは、「穴数-PCD値」の形式で表記されます。
- 5-100:5穴でPCD100mm
- 5-114.3:5穴でPCD114.3mm
- 4-100:4穴でPCD100mm
日本車の主なPCD
| PCD | 穴数 | 主な車種 |
|---|---|---|
| PCD100 | 5穴 | トヨタ86、スバルBRZ、マツダロードスター |
| PCD100 | 4穴 | マツダロードスター(NA/NB/NC)、軽自動車の一部 |
| PCD114.3 | 5穴 | 日産シルビア、スカイライン、180SX、フェアレディZ、ホンダS2000、マツダRX-7、トヨタGRヤリス、スープラ |
| PCD114.3 | 4穴 | 一部の軽自動車、コンパクトカー |
| PCD120 | 5穴 | BMW(多くのモデル) |
| PCD112 | 5穴 | Mercedes-Benz、Audi、Volkswagen |
💡 PCD100とPCD114.3の違い
PCD100:トヨタ86/BRZ、ロードスターなど、比較的軽量な車両に多い。ホイールの選択肢はPCD114.3より少なめ。
PCD114.3:日産、ホンダ、マツダのスポーツカーに多い。最も一般的なPCDで、ホイールの選択肢が豊富。
PCDの測り方
PCDは、ボルト穴の配置から測定できます。穴数によって測定方法が異なります。
5穴の場合
5穴の場合、向かい合う穴がないため、以下の方法で測定します。
- 隣り合う2つの穴の中心間距離を測る:ボルト穴の中心から隣の穴の中心までの直線距離を測定
- 計算式に当てはめる:PCD = 隣り合う穴の距離 ÷ 0.5878
- 例:隣り合う穴の距離が67mmの場合、PCD = 67 ÷ 0.5878 ≒ 114.3mm
4穴の場合
4穴の場合、向かい合う穴の中心間距離を測れば、それがPCDです。
- 向かい合う2つの穴の中心間距離を測る:対角線上の穴の中心から中心までの直線距離を測定
- それがPCD:測定した距離がそのままPCDの値
⚠️ PCDの注意点
PCDが異なるホイールは絶対に装着しないでください。無理に装着すると以下のリスクがあります。
- ボルトが正しく締まらず、走行中にホイールが外れる
- ボルト穴が変形し、ホイールが使用不能になる
- ハブボルトが破損する
- 重大な事故につながる可能性
車種別のオフセットとPCD
主要なスポーツカーのオフセットとPCDをご紹介します。
トヨタ86 / スバルBRZ
| 項目 | 純正値 | カスタム推奨値 |
|---|---|---|
| PCD | 5-100 | 5-100 |
| フロントオフセット | +48(純正) | +38〜+45 |
| リアオフセット | +48(純正) | +44〜+49 |
| VALINO推奨 | フロント 17×8.5J +45、リア 18×9.5J +44/+49 | |
日産シルビアS15 / 180SX
| 項目 | 純正値 | カスタム推奨値 |
|---|---|---|
| PCD | 5-114.3 | 5-114.3 |
| フロントオフセット | +40(純正) | +12〜+25 |
| リアオフセット | +40(純正) | -3〜+22 |
| VALINO推奨 | フロント 17×9.0J +22、リア 17×9.5J -3/+12/+22 | |
ホンダS2000
| 項目 | 純正値 | カスタム推奨値 |
|---|---|---|
| PCD | 5-114.3 | 5-114.3 |
| フロントオフセット | +55(純正) | +55〜+60 |
| リアオフセット | +65(純正) | +60〜+63 |
| VALINO推奨 | フロント 17×9.0J +60、リア 18×9.5J +63 | |
マツダロードスター(ND)
| 項目 | 純正値 | カスタム推奨値 |
|---|---|---|
| PCD | 4-100 | 4-100 |
| フロントオフセット | +45(純正) | +25〜+35 |
| リアオフセット | +45(純正) | +32〜+35 |
| VALINO推奨 | 16×7.0J +25、16×7.5J +32、17×8.0J +35 | |
トヨタGRヤリス
| 項目 | 純正値 | カスタム推奨値 |
|---|---|---|
| PCD | 5-114.3 | 5-114.3 |
| フロント/リアオフセット | +50(純正) | +45 |
| VALINO推奨 | 18×9.5J +45 | |
オフセット変更時の注意点
オフセットを変更する際は、以下の点に注意が必要です。
フェンダーとの干渉
オフセットを下げる(マイナス方向)と、ホイールが外側に出るため、フェンダーとの干渉リスクが高まります。
- 静止状態:フェンダーとのクリアランスを確認
- フルロック時:ステアリングを最大に切った状態でフェンダーインナーとの干渉を確認
- サスペンションストローク時:車を上下に揺らして、沈んだときの干渉を確認
ブレーキキャリパーとの干渉
オフセットを上げる(プラス方向)と、ホイールが内側に入るため、ブレーキキャリパーとの干渉リスクが高まります。
- 大径ブレーキ:社外品の大径ブレーキキャリパーは干渉しやすい
- リム幅:リム幅が狭いホイールは干渉しやすい
- 確認方法:装着前にホイールをハブに当ててクリアランスを確認
ハンドリングへの影響
オフセットを変更すると、トレッド幅が変わり、ハンドリング特性が変化します。
- オフセットを下げる:トレッド幅が広がり、コーナリング安定性が向上するが、直進安定性がやや低下
- オフセットを上げる:トレッド幅が狭まり、直進安定性が向上するが、コーナリング性能がやや低下
- 極端な変更:ハンドルが重くなる、ステアリングレスポンスが変わる
車検への影響
オフセット変更で最も注意が必要なのが車検適合性です。
- フェンダーからのはみ出し:タイヤの最外側がフェンダーから出ていると車検不適合
- タイヤハウス内:フルロック時やサスペンションストローク時に干渉があると車検不適合
- 安全マージン:フェンダーより5〜10mm内側に収めるのが安全
よくある質問(FAQ)
Q1. オフセットとインセットは同じですか?
はい、オフセット(OFFSET)とインセット(INSET)は全く同じ意味です。オフセットは英語表記、インセットは日本国内での呼び方です。どちらもホイールの取り付け面がリムの中心からどれだけずれているかを示す数値で、単位はmm(ミリメートル)です。ホイールメーカーによって表記が異なる場合がありますが、意味は同一です。
Q2. プラスオフセットとマイナスオフセット、どちらが良いですか?
用途によって異なります。ストリート走行で車検対応を重視するならプラスオフセット、ドリフト走行やカスタムで迫力あるスタンスを求めるならマイナスオフセットが適しています。プラスオフセットはフェンダー内に収まりやすく車検に通りやすいメリットがあります。マイナスオフセットはワイドトレッド化により、コーナリング性能が向上し、ドリフト走行に最適です。D1競技ではワイドトレッドスペーサー40mm制限があるため、マイナスオフセットが必須となります。
Q3. オフセットを5mm変えると、どのくらいホイールの位置が変わりますか?
オフセットを5mm下げると(例:+45から+40へ)、ホイールが外側に5mm出ます。逆にオフセットを5mm上げると(例:+40から+45へ)、ホイールが内側に5mm入ります。この5mmの差は、フェンダーとのクリアランスやツライチの調整において重要です。ツライチを目指す場合、現在フェンダーまで20mm余裕があるなら、オフセットを20mm下げることで理想的なスタンスになります。
Q4. PCDとは何ですか?
PCD(Pitch Circle Diameter:ピッチサークル径)は、ホイールのボルト穴の中心を結んだ円の直径のことです。単位はmm(ミリメートル)で、「5-100」のように「穴数-PCD値」の形式で表記されます。PCDは車種ごとに決まっており、ホイールのPCDが車両のPCDと一致しなければ装着できません。日本車で最も一般的なのはPCD100(トヨタ86/BRZ、ロードスター)とPCD114.3(日産シルビア、ホンダS2000、マツダRX-7)です。
Q5. PCD100とPCD114.3は互換性がありますか?
いいえ、PCD100とPCD114.3には互換性が全くありません。PCDが異なるホイールを無理に装着すると、ボルトが正しく締まらず、走行中にホイールが外れる重大な事故につながります。ボルト穴が変形し、ホイールやハブボルトが使用不能になることもあります。必ず車両のPCDと一致するホイールを選んでください。PCD変換アダプターも存在しますが、強度や安全性の問題があるため推奨されません。
Q6. ツライチを出すにはどうすればいいですか?
ツライチを出すには、現在のホイールとフェンダーのクリアランスを測定し、その分だけオフセットを下げる必要があります。例えば、現在+45のオフセットでフェンダーまで20mm余裕がある場合、+25のオフセットにすることでツライチになります。ただし、完全なツライチはフェンダーからはみ出すリスクがあるため、車検対応を考慮して5〜10mm内側に収めることをおすすめします。また、リム幅を変更する場合は、その差の半分も考慮に入れる必要があります。
Q7. オフセットを変更すると車検に通らなくなりますか?
オフセットの変更自体は問題ありませんが、結果としてタイヤがフェンダーからはみ出す場合、車検不適合となります。車検に通るためには、タイヤの最外側がフェンダーから出ないこと、フルロック時やサスペンションストローク時にタイヤハウス内で干渉しないことが条件です。安全マージンとして、フェンダーより5〜10mm内側に収めることをおすすめします。VALINOのN820SはJWL/VIA規格適合品なので、適切なオフセットを選べば車検対応可能です。
Q8. リム幅を変えるとオフセットはどう影響しますか?
リム幅を変更すると、同じオフセット値でもホイールの外側の位置が変わります。例えば、9Jから9.5Jに幅を広げる場合、リム幅が約12.7mm増えるため、外側に約6mm出ます(増加分の半分)。そのため、同じスタンスを維持したい場合は、オフセットを6mm上げる(プラス方向)必要があります。逆に、リム幅を狭くする場合は、オフセットを下げることでスタンスを維持できます。
Q9. ドリフト車両におすすめのオフセットは?
ドリフト車両では、フロントは+3〜+25、リアは-12〜+15が一般的です。D1ライツチャンピオン争いの浅野潤一選手は、フロント/リア共に9.5J -12を使用しています。D1競技ではワイドトレッドスペーサーが40mm以内に制限されているため、マイナスオフセットのホイールが必須となります。フロントは切れ角を確保するため極端なマイナスオフセットは避け、リアはワイドトレッド化のためマイナスオフセットを選ぶのが基本です。
Q10. VALINOホイールではどのオフセットが選べますか?
VALINOのN820Sは、豊富なオフセット展開があります。17インチでは-12、-3、0、+3、+12、+15、+22、+25、+30、+38、+45、+60などが選択可能です。18インチでも-12、-3、+12、+15、+22、+35、+38、+44、+45、+49、+63など幅広いオフセットを用意しています。特にドリフト用途で需要の高い-12や-3などのマイナスオフセットも充実しており、浅野選手が語るように「このサイズはVALINOホイールしかない」という選択肢の豊富さが特徴です。詳細はVALINO公式サイトまたはお近くのVALINO BASEでご確認ください。
まとめと次のアクション
ここまで、ホイール選びで必須の知識であるオフセット(インセット)とPCDについて、基礎知識から測り方、計算方法、車種別の推奨値までご紹介してきました。
オフセットは、車のスタンス(見た目)、ハンドリング、フェンダーとのクリアランス、車検適合性のすべてに影響する重要な数値です。プラスオフセットは車検対応しやすく、マイナスオフセットはドリフト走行に最適です。ツライチを出すには、現在のクリアランスを測定し、適切なオフセットを計算することが重要です。
PCDは、ホイールのボルト穴の配置を示す数値で、車両のPCDと一致しなければ装着できません。日本車で最も一般的なPCD100とPCD114.3には互換性がなく、必ず車両のPCDと一致するホイールを選ぶ必要があります。
VALINOのN820Sは、豊富なオフセットとPCDの展開により、86/BRZ(PCD100)からシルビア/S2000(PCD114.3)まで、幅広い車種に対応しています。特にドリフト用途で需要の高いマイナスオフセット(-12、-3)も充実しており、ストリートからサーキット、ドリフト競技まで、あなたの車両と用途に最適なホイールが必ず見つかります。
ホイール選びで迷ったら、オフセットとPCDを正しく理解し、車両に適合する仕様を選ぶことが、理想のスタンスと安全な走行を実現する第一歩です。