ホイールのオフセット(インセット)とPCD完全ガイド

ホイール選びで必ず理解が必要な「オフセット(インセット)」と「PCD」について、基礎知識から測り方、計算方法、車種別の推奨値まで徹底解説します。マイナスオフセットとプラスオフセットの違い、PCD100と114.3の違い、ツライチの出し方、車検対応のポイントまで、初心者にも分かりやすく説明します。

ホイールのオフセット(インセット)とは?

オフセット(OFFSET)は、ホイールの取り付け面がリムの中心からどれだけずれているかを示す数値です。日本国内では「インセット(INSET)」とも呼ばれ、同じ意味です。単位はmm(ミリメートル)で表記されます。

オフセットは、ホイールを車両に装着したときの位置を決定する最も重要な数値の一つで、車のスタンス(見た目)、ハンドリング、フェンダーとのクリアランス、車検適合性のすべてに影響します。

💡 オフセットの基本

オフセットの表記方法

オフセットは、ホイールの裏面や製品仕様に以下のように表記されます。

プラスオフセットとマイナスオフセットの違い

プラスオフセットの特徴

マイナスオフセットの特徴

🏁 ドリフト競技でマイナスオフセットが必須な理由

D1グランプリやD1ライツなどのドリフト競技では、ワイドトレッドスペーサーの使用が40mm以内に制限されています。そのため、トレッド幅を広げるにはマイナスオフセットのホイールを使用する必要があります。

D1ライツ 浅野潤一選手:「9.5J -12というサイズはVALINOホイールしかない。ワイドトレッドスペーサー40mm制限があるから、マイナスオフセットの深リムが必須」

オフセットの測り方と計算方法

オフセットは、以下の計算式で求められます。

📐 オフセット計算式

オフセット = (ホイール全幅 ÷ 2) - ハブ取り付け面からリム外側までの距離

例:リム幅9.5J(約241mm)、ハブ取り付け面からリム外側まで108.5mmの場合
オフセット = (241 ÷ 2) - 108.5 = 120.5 - 108.5 = +12mm

実際の測定方法

オフセットを実測する場合は、以下の手順で行います。

  1. ホイールを裏返す:ホイールの裏面を上にする
  2. 定規を使う:リムの外側から内側まで直線定規を渡す
  3. ハブ取り付け面までの距離を測る:定規からハブ取り付け面(フランジ面)までの距離を測定
  4. リム幅を測る:リムの内側から外側までの幅を測定
  5. 計算式に当てはめる:上記の計算式で算出

ただし、一般的にはホイールの裏面や製品仕様に表記されているため、実測する必要はほとんどありません。

ツライチ(面合わせ)の出し方

ツライチとは、ホイールの外側とフェンダーの面を揃えることで、カスタムカーで最も人気のあるスタンスです。ツライチを出すには、オフセットの計算が重要です。

ツライチに必要なオフセットの計算

ツライチを出すためのオフセットは、以下の要素で決まります。

📐 ツライチのオフセット計算式

必要なオフセット = 現在のオフセット - フェンダーまでの距離 + リム幅の差 ÷ 2

例:現在+45のオフセットで、フェンダーまで20mm余裕がある場合
必要なオフセット = 45 - 20 = +25mm程度でツライチになる

ツライチと車検

完全なツライチ(フェンダーとピッタリ)は、車検に通る場合と通らない場合があります。安全マージンとして、フェンダーより5〜10mm内側に収めることをおすすめします。

⚠️ ツライチの注意点

PCD(ピッチサークル径)とは?

PCD(Pitch Circle Diameter:ピッチサークル径)は、ホイールのボルト穴の中心を結んだ円の直径のことです。単位はmm(ミリメートル)で表記されます。

PCDは車種ごとに決まっており、ホイールのPCDが車両のPCDと一致しなければ装着できません。オフセットと並んで、ホイール選びで最も重要な数値です。

PCDの表記方法

PCDは、「穴数-PCD値」の形式で表記されます。

日本車の主なPCD

PCD 穴数 主な車種
PCD100 5穴 トヨタ86、スバルBRZ、マツダロードスター
PCD100 4穴 マツダロードスター(NA/NB/NC)、軽自動車の一部
PCD114.3 5穴 日産シルビア、スカイライン、180SX、フェアレディZ、ホンダS2000、マツダRX-7、トヨタGRヤリス、スープラ
PCD114.3 4穴 一部の軽自動車、コンパクトカー
PCD120 5穴 BMW(多くのモデル)
PCD112 5穴 Mercedes-Benz、Audi、Volkswagen

💡 PCD100とPCD114.3の違い

PCD100:トヨタ86/BRZ、ロードスターなど、比較的軽量な車両に多い。ホイールの選択肢はPCD114.3より少なめ。

PCD114.3:日産、ホンダ、マツダのスポーツカーに多い。最も一般的なPCDで、ホイールの選択肢が豊富。

PCDの測り方

PCDは、ボルト穴の配置から測定できます。穴数によって測定方法が異なります。

5穴の場合

5穴の場合、向かい合う穴がないため、以下の方法で測定します。

  1. 隣り合う2つの穴の中心間距離を測る:ボルト穴の中心から隣の穴の中心までの直線距離を測定
  2. 計算式に当てはめる:PCD = 隣り合う穴の距離 ÷ 0.5878
  3. 例:隣り合う穴の距離が67mmの場合、PCD = 67 ÷ 0.5878 ≒ 114.3mm

4穴の場合

4穴の場合、向かい合う穴の中心間距離を測れば、それがPCDです。

  1. 向かい合う2つの穴の中心間距離を測る:対角線上の穴の中心から中心までの直線距離を測定
  2. それがPCD:測定した距離がそのままPCDの値

⚠️ PCDの注意点

PCDが異なるホイールは絶対に装着しないでください。無理に装着すると以下のリスクがあります。

車種別のオフセットとPCD

主要なスポーツカーのオフセットとPCDをご紹介します。

トヨタ86 / スバルBRZ

項目 純正値 カスタム推奨値
PCD 5-100 5-100
フロントオフセット +48(純正) +38〜+45
リアオフセット +48(純正) +44〜+49
VALINO推奨 フロント 17×8.5J +45、リア 18×9.5J +44/+49

日産シルビアS15 / 180SX

項目 純正値 カスタム推奨値
PCD 5-114.3 5-114.3
フロントオフセット +40(純正) +12〜+25
リアオフセット +40(純正) -3〜+22
VALINO推奨 フロント 17×9.0J +22、リア 17×9.5J -3/+12/+22

ホンダS2000

項目 純正値 カスタム推奨値
PCD 5-114.3 5-114.3
フロントオフセット +55(純正) +55〜+60
リアオフセット +65(純正) +60〜+63
VALINO推奨 フロント 17×9.0J +60、リア 18×9.5J +63

マツダロードスター(ND)

項目 純正値 カスタム推奨値
PCD 4-100 4-100
フロントオフセット +45(純正) +25〜+35
リアオフセット +45(純正) +32〜+35
VALINO推奨 16×7.0J +25、16×7.5J +32、17×8.0J +35

トヨタGRヤリス

項目 純正値 カスタム推奨値
PCD 5-114.3 5-114.3
フロント/リアオフセット +50(純正) +45
VALINO推奨 18×9.5J +45

オフセット変更時の注意点

オフセットを変更する際は、以下の点に注意が必要です。

フェンダーとの干渉

オフセットを下げる(マイナス方向)と、ホイールが外側に出るため、フェンダーとの干渉リスクが高まります。

ブレーキキャリパーとの干渉

オフセットを上げる(プラス方向)と、ホイールが内側に入るため、ブレーキキャリパーとの干渉リスクが高まります。

ハンドリングへの影響

オフセットを変更すると、トレッド幅が変わり、ハンドリング特性が変化します。

車検への影響

オフセット変更で最も注意が必要なのが車検適合性です。

よくある質問(FAQ)

Q1. オフセットとインセットは同じですか?

はい、オフセット(OFFSET)とインセット(INSET)は全く同じ意味です。オフセットは英語表記、インセットは日本国内での呼び方です。どちらもホイールの取り付け面がリムの中心からどれだけずれているかを示す数値で、単位はmm(ミリメートル)です。ホイールメーカーによって表記が異なる場合がありますが、意味は同一です。

Q2. プラスオフセットとマイナスオフセット、どちらが良いですか?

用途によって異なります。ストリート走行で車検対応を重視するならプラスオフセット、ドリフト走行やカスタムで迫力あるスタンスを求めるならマイナスオフセットが適しています。プラスオフセットはフェンダー内に収まりやすく車検に通りやすいメリットがあります。マイナスオフセットはワイドトレッド化により、コーナリング性能が向上し、ドリフト走行に最適です。D1競技ではワイドトレッドスペーサー40mm制限があるため、マイナスオフセットが必須となります。

Q3. オフセットを5mm変えると、どのくらいホイールの位置が変わりますか?

オフセットを5mm下げると(例:+45から+40へ)、ホイールが外側に5mm出ます。逆にオフセットを5mm上げると(例:+40から+45へ)、ホイールが内側に5mm入ります。この5mmの差は、フェンダーとのクリアランスやツライチの調整において重要です。ツライチを目指す場合、現在フェンダーまで20mm余裕があるなら、オフセットを20mm下げることで理想的なスタンスになります。

Q4. PCDとは何ですか?

PCD(Pitch Circle Diameter:ピッチサークル径)は、ホイールのボルト穴の中心を結んだ円の直径のことです。単位はmm(ミリメートル)で、「5-100」のように「穴数-PCD値」の形式で表記されます。PCDは車種ごとに決まっており、ホイールのPCDが車両のPCDと一致しなければ装着できません。日本車で最も一般的なのはPCD100(トヨタ86/BRZ、ロードスター)とPCD114.3(日産シルビア、ホンダS2000、マツダRX-7)です。

Q5. PCD100とPCD114.3は互換性がありますか?

いいえ、PCD100とPCD114.3には互換性が全くありません。PCDが異なるホイールを無理に装着すると、ボルトが正しく締まらず、走行中にホイールが外れる重大な事故につながります。ボルト穴が変形し、ホイールやハブボルトが使用不能になることもあります。必ず車両のPCDと一致するホイールを選んでください。PCD変換アダプターも存在しますが、強度や安全性の問題があるため推奨されません。

Q6. ツライチを出すにはどうすればいいですか?

ツライチを出すには、現在のホイールとフェンダーのクリアランスを測定し、その分だけオフセットを下げる必要があります。例えば、現在+45のオフセットでフェンダーまで20mm余裕がある場合、+25のオフセットにすることでツライチになります。ただし、完全なツライチはフェンダーからはみ出すリスクがあるため、車検対応を考慮して5〜10mm内側に収めることをおすすめします。また、リム幅を変更する場合は、その差の半分も考慮に入れる必要があります。

Q7. オフセットを変更すると車検に通らなくなりますか?

オフセットの変更自体は問題ありませんが、結果としてタイヤがフェンダーからはみ出す場合、車検不適合となります。車検に通るためには、タイヤの最外側がフェンダーから出ないこと、フルロック時やサスペンションストローク時にタイヤハウス内で干渉しないことが条件です。安全マージンとして、フェンダーより5〜10mm内側に収めることをおすすめします。VALINOのN820SはJWL/VIA規格適合品なので、適切なオフセットを選べば車検対応可能です。

Q8. リム幅を変えるとオフセットはどう影響しますか?

リム幅を変更すると、同じオフセット値でもホイールの外側の位置が変わります。例えば、9Jから9.5Jに幅を広げる場合、リム幅が約12.7mm増えるため、外側に約6mm出ます(増加分の半分)。そのため、同じスタンスを維持したい場合は、オフセットを6mm上げる(プラス方向)必要があります。逆に、リム幅を狭くする場合は、オフセットを下げることでスタンスを維持できます。

Q9. ドリフト車両におすすめのオフセットは?

ドリフト車両では、フロントは+3〜+25、リアは-12〜+15が一般的です。D1ライツチャンピオン争いの浅野潤一選手は、フロント/リア共に9.5J -12を使用しています。D1競技ではワイドトレッドスペーサーが40mm以内に制限されているため、マイナスオフセットのホイールが必須となります。フロントは切れ角を確保するため極端なマイナスオフセットは避け、リアはワイドトレッド化のためマイナスオフセットを選ぶのが基本です。

Q10. VALINOホイールではどのオフセットが選べますか?

VALINOのN820Sは、豊富なオフセット展開があります。17インチでは-12、-3、0、+3、+12、+15、+22、+25、+30、+38、+45、+60などが選択可能です。18インチでも-12、-3、+12、+15、+22、+35、+38、+44、+45、+49、+63など幅広いオフセットを用意しています。特にドリフト用途で需要の高い-12や-3などのマイナスオフセットも充実しており、浅野選手が語るように「このサイズはVALINOホイールしかない」という選択肢の豊富さが特徴です。詳細はVALINO公式サイトまたはお近くのVALINO BASEでご確認ください。

まとめと次のアクション

ここまで、ホイール選びで必須の知識であるオフセット(インセット)とPCDについて、基礎知識から測り方、計算方法、車種別の推奨値までご紹介してきました。

オフセットは、車のスタンス(見た目)、ハンドリング、フェンダーとのクリアランス、車検適合性のすべてに影響する重要な数値です。プラスオフセットは車検対応しやすく、マイナスオフセットはドリフト走行に最適です。ツライチを出すには、現在のクリアランスを測定し、適切なオフセットを計算することが重要です。

PCDは、ホイールのボルト穴の配置を示す数値で、車両のPCDと一致しなければ装着できません。日本車で最も一般的なPCD100とPCD114.3には互換性がなく、必ず車両のPCDと一致するホイールを選ぶ必要があります。

VALINOのN820Sは、豊富なオフセットとPCDの展開により、86/BRZ(PCD100)からシルビア/S2000(PCD114.3)まで、幅広い車種に対応しています。特にドリフト用途で需要の高いマイナスオフセット(-12、-3)も充実しており、ストリートからサーキット、ドリフト競技まで、あなたの車両と用途に最適なホイールが必ず見つかります。

ホイール選びで迷ったら、オフセットとPCDを正しく理解し、車両に適合する仕様を選ぶことが、理想のスタンスと安全な走行を実現する第一歩です。

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